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情熱大陸×管理人








プロ養分 管理人





時刻は午前4時
もう少しで日の出だというのに
彼は真剣な眼差しでPCの画面を見つめていた

「らーぶらーぶちゅっちゅっちゅー(*´3`*)」

プロ養分、管理人。
彼が一度ホールに趣けば、そこは引き出すことのできない銀行と化する
たまに美味しい思いもするが結局それ以上に辛い思いをする生活を
約10年続けてきた。



―――あなたにとって「パチンコ・パチスロ」とはなんですか?

「それ聞いちゃいます? 誰にも言ったこと無いので恥ずかしいのですが・・・人生そのものですかね。」

「人生っていうと大げさに聞こえるかもしれませんが、僕が唯一続けて来れた事ってパチンコ・パチスロくらいしかないんですよね・・・」

「お金を使う遊びなので、周囲に馬鹿にされる事もあります。もうやめようかなって思った事も数えきれない程あります。でも結局辞められないんですよね。」

「周囲には養分ってよく言われますが、それの何が悪いの?って思うんです。だって僕のお陰でホールさんが潤って店員さんの給料になって・・・素敵な事だと思いませんか?」




―――「養分」本来は栄養となる成分の事を言う。
しかし彼の場合は好きなパチンコ・パチスロ台に見境無く投資をする。時には所持金が尽きて 美味しいゾーン手前で打つのを辞めざるを得なかったり、ボーダーに全然届いていないのに気にせず打ち続けたりもする。まさにホール、ハイエナの養分だ。

ここ数ヶ月の収支は大幅にマイナス。ホールに行った回数は両手では数え切れないほどだが、換金所に行った回数は片手で事足りる。
そのおかげで一ヶ月パスタ生活をするハメになったりするそうだが、彼は呆気無く言う。

「まぁ、そういう時もありますよ・・・」

「たしかに辛いんですよ、たらこスパゲッティとペペロンチーノだけの生活を想像してみてください。なんか気分悪くなりますよね?それを1ヶ月です。最終的にはパスタを受け付けなくなりますよ。」


だからだろうか?彼の部屋にはうどんとそばが大量に備えられていた。



―――後日そんな彼が、ここ2週間ほどホールに出向いていないとの情報が我々の耳に入ってきた、何があったというのか・・・我々は彼の部屋に行って話を伺うことにした・・・

何があったんですか?

「いつも通っていたホールがバグ発覚後に信●を動かしてたんですよ。」

あれだけコメント欄で叩かれたのに、そのネタ持ってきますか・・・

「いいじゃないですか、とにかくあれに対するホールの対応に僕は心底腹がたった。しかもそこは店員さんの対応がすてきなホールだっただけにショックだった。あぁ見せかけだけだったんだねって、もうそこでパチスロを打てなくなりました。それから一度だけ戦国乙女3を打ちに行ったんですが、1000円で12回しか回りませんでした。ムラかなって思ったので15000円程打ちましたが 結果は変わりませんでした。じゃあ1パチだって思って打ったんですが1000円で50回も回りません。これでどーしろと?」

ホールに対する不信感。

そんな事を気にしていては養分失格だ。

散々ブログで取り上げたプリズムナナの導入が始まっていますがそれでいいんですか?

「良くないですよ、実際にブログ読者の方から実戦記事上げてよって言われて やりたいなって思ってるんですが、電車のって遠くのホールに行くのは嫌なので・・・ 結果、ここ最近ホールには行けてないです。」

「・・・・」


そう言うと黙って彼は日課のアニメ鑑賞を始めてしまった。



―――このままでは彼がダメになってしまう・・・ 我々は、彼に少し刺激を与えてみることにした。

この放送を見てもらえますか?

「プリズムナナの実機配信ですか・・・」

数時間後、我々の狙いは思いの他上手くいったようだった。

「いい加減プリズムナナ打ちたい」

彼はTwitterでそう呟いた。

当然のように誰からも反応は無い。

しかし彼はそんな事全く気にする素振りはなく、タイムシフトで見れる限りの放送を見続けていた。

「よし、逃げちゃダメだ!!!!」

彼は少し荒ぶった声でそう言い放ち、ブログのタイトル画像を変更した。



―――そして、時間は冒頭に戻る

「らーぶらーぶちゅっちゅっちゅー(*´3`*)」

"萌って☆メルって★タッチしてっ!"

まじかるすいーとプリズム・ナナに搭載されている楽曲で 歌詞は、スロッターなら思わず反応してしまう内容となっている。

ガタッ!おもむろに席を立つと何も言わず彼は部屋を出て行った。 室内は禁煙のようで、外にある喫煙所で何か音楽を聞きながら煙草をふかしながらこう言い放つ。

「この時間に外で煙草を吸いながら スガシカオさんの"progress kokua"を聞くんです」


「最高にテンションが上がるんですよ、なんていうかできる奴っぽい気分になれる。」






まだ時間は午前4時、遠くから聞こえる新聞配達のカブの排気音。プロ養分管理人の挑戦が今始まろうとしていた。




午前8:30 彼はシャワーを浴びた後、身支度を整え駅に向かう。

駅に向かう途中、小学校の前を歩いていると彼は何故か遠い目で小学生を見つめていた。

どうしたんですか?

「僕もいい年齢じゃないですか、一般方の出勤時間内にTシャツ姿でウキウキ しながらホールに向かう姿を小学校時代の僕はまったく想像してなかったなと」

「まぁこれが僕のスタイルなので気にはしませんけどね」


そうこうしている間に駅に到着した。しかし彼は改札口には向かわず すき家に入っていた。

「ハンバーグカレーの並にチーズトッピングお願いします。」

ゲン担ぎが何かだろうか?理由を聞いてみることにした。

「ゲン担ぎ?違いますね。負けたらこういった外食を控えなければいけませんから、今の間に食べておこうって感じです。」

「そうすれば負けた後に他のものに使えば良かったっていう気持ちを少しだけ和らげる事ができるんです。」

「実戦が終わった後ってお腹空いてることが多いからあまり意味は無いんですけどね」


負け時の事を想定した行動。それこそが彼がプロ養分と言われる理由なのかもしれない。

午前9:40 所沢駅に到着しホールへ向かう。 始めて来た場所なのに彼は迷うことなくホールがある出口を見つけ 颯爽と階段を降りていく。

これがプロ養分の嗅覚というやつなのだろうか・・・

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お目当てのホールの前に到着し、入場の列で待機する彼に一つの質問をしてみた。

今日は勝てますか?

「わかりません。打ちたい台がどこに設置されていのか分からないので こればっかりは運任せですね。それと今回は予算を20Kと少なめに設定してあるので 負けてもいいやって気分で打とうかなと・・・」

「あとちゃんと余計に負けないためにあれをい・・・」





何かを言おうとしていたが、入場が始まってしまい、すべてを聞き取ることが出来なかった・・・

数分後、自慢げにカド台のプリズムナナに着席し、まだ回してもいない実機の写真撮っている彼の姿があった。

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「やっぱいいですねー可愛い。許されるのであれば舐めたい。女性の店員が多いホールさんみたいなのでできないのが残念ですが・・・」

そう言い放ち彼の久しぶりの実戦がスタートする

初当たりは我々が想像していたよりも早かった

投資8000円

マジカライズゾーンで大勝利

プリズムチャンス!と液晶に表示されている。

キュイン!

彼は首を傾げていた。

「そんな演出あるんですか?初打ちなのでよくわかりませんが昇格したりするんですかこれ?」

後に発覚するが、このお店大当たりするとジャグラーでも無いのにキュインと鳴る仕様だったらしい。そんな事は当然まだ気づいてないので管理人のワクワクは止まらないようだ・・・

「一発目からなんか嬉しいなー 大天使至ちゃん可愛いし大好き!抱きしめたい!」

数秒後彼の表情が一変する

液晶には45枚と表示されている、どうやらプリズムチャンスとやらは45枚の獲得で終了したらしい。気合を入れてBETを押しレバーを叩くが何も起こらない。

「まぁ初打ちですから、しょうがないですね。元々こういう仕様なのかもしれませんし

そうするのもつかの間、モードが天国だったのだろうか 早いゲーム数でカラフルゾーンから大当たりをゲットする。

液晶には赤7揃いでプリズムボーナスを引いたようだった。

「ここからが勝負ですよ。僕の愛が至ちゃんことヒートナナちゃんに届いて 彼女を満たしてあげることができるのか・・・」

それから数分後

「見てくださいよこれ・・・」

液晶リールにBAR図柄が菱形に並んでいた。

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「解析とか何も見てないのでよくわかりませんが、きっと偉いやつですよね。やっぱり愛があればこそですね」

その後突入したプリズムゾーンでストックを4つゲットし 彼女を満たすことはできなかったもののアンコールチャンスでストックを更にもう一つ追加し合計5つのストックをゲットし満面の笑みを浮かべる管理人の姿がそこにはあった。

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「簡単ですね。マジ金吸い取るプリズムナナと人は言いますが、あれは愛が無いだけですよ。愛があれば吸い取られても嬉しいはず。まぁ僕の場合は至ちゃんと相性が良いお陰で吐き出してくれるみたいですけど。」

その後プリズムボーナス3のプリズムチャンス2を消化するものの ストックを追加することができなかったようだ。

液晶には1083枚の表示。今辞めれば大勝利だが管理人の手は天国に期待できる100Gを過ぎても止まることは無かった・・・

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「設定云々はわかりませんが、20スロの状況を見る限り設定は期待できなさそうです。」

「でも愛があればどうにかなるっていうのをブログを読んでくれてる方に見て貰いたし。なによりもずっと至ちゃんを見ていたい。」

「とりあえず1000枚は全部突っ込みますよ」


3回目のカラフルゾーンで大当たりをゲットする、回転数は400G台となっていた。

プリズムチャンス!

当然45枚で終了。ここまで消化したプリズムチャンスはすべて1セットで終了している 絶望しか無かった。しかし彼は表情ひとつ変えずに黙々と打ち続ける。

「まだ持ちコインが400枚くらいありますからね まだ大丈夫です」

その後、数回マジカライズゾーンに突入するもスルー、カラフルゾーンもすべてスルーし

3回めの周期を終了し、天を仰ぐ管理人の姿がそこにはあった。

「ゲーム数を見てください。600Gってなってますよね。この台周期4回目もしくは900G消化で天井なんですよ。」

なら回せばいいのではないだろうか・・・我々はそう思った・・・

「なら打てよって思います?僕の今の残金を見てください4000円しかありません。」

「余計に使わない為にキャッシュカードは家に置いてきたんです。つまりもう打てません。ここで止めます。」

あの時言いかけていたのはこの事だったようだ・・・

これこそがまさに養分ではないだろうか・・・我々はそう思った。
その後、煙草の空き箱でも置いて嫌がらせすると思いきや、彼は意外とあっさり台を後にし他のフロアの低貸しエリアに向かっていった。



「昔の僕だったら普通にあのまま4000円突っ込んでましたけどね、今でも心の隅にフリーズ引けばいいじゃんって感情もあるんですが。僕もいい大人ですからね、引き際は弁えているつもりです。まぁなによりキャッシュカードを家に置いた時の自分をぶっ飛ばしたいですよ。」

「でもに5円スロットならまだワンチャンありますからね。まだ終わりませんよ。」


そんな中、彼が座ったのはヤマトだった。 2000円を投資するもののまったく必要のない演出の煽りを見ただけで終わっていた。

「まだ2000円ありますから、まだいけます。」

すると突然、彼は狭いホールを颯爽と駆け抜けていった。

彼が向かった先にはプリズムナナがあった。
回転数は400Gとなっている。

「至が打てって言ってますね。これはもう運命としかいいようがない。」

前任者は2回目の周期が終わった所で止めたのだろうか、液晶のカウンターは0となっている。我々には最悪の結末しか想像できないのだが、それはきっとプロ養分の彼には関係の無いことなのだろう・・・



―――当然の様に、残金500円を残してカラフルゾーンはスルーした。
ゲーム数は550G。我々が想像した最悪の結末通りとなっていた。

「天井?いいんですよ。本当はちゃんと消化してあげたいんですけどね。 もう500円しかないのですから。無駄にゲーム数を消化することだけはしない。これが僕のモットーです。」

「でもまだ諦めませんよ」


そういうと彼はクレアの秘宝伝に着席した。 残り500円から奇跡は起こるのか?



―――結果は驚くほど早く出た。
チャンス目を一度も引くことなく終了。
時刻は午後2:00、実戦終了するにはまだ早い時間だ・・・
しかし彼の所持金は小銭のみ。どうにもならなかった・・・

その後お店の外の影で財布を隅々までチェックしている彼の姿あった。

「うっかり財布にキャッシュカードないかなって思って・・」

勝負できる可能性が1%でも残されているならそれに全力を注ぐプロ養分の姿がそこにはあった。

「やっぱりありませんでした。軍資金を手に入れるには家に帰るしかありません。」

そう言いながら、所沢駅に向かう彼の目はまだ諦めてはいないようだった。



―――そこからの彼の行動に我々は驚いた。
完璧な電車の乗車位置、最短ルートでの帰宅。
無駄な点はまったく見当たらなかった。

何故か彼が輝いて見えた。

「ゲットしましたよ!これでまた勝負できます。」

どうやら朝の発言はすっかり忘れているようだ。
しかし何故かホッとした。これがプロの養分なのだと。

「次は、大宮行きますよ。勝率100%のお店があるんです。」



―――大宮へ向かう電車の中、彼にまたあの質問をしてみた。

今日は勝てますか?

「自分でも不思議なんですが、勝てる気しかしかしないんですよね。
これが噂のヨウブンズ・ハイってやつかもしれません」

「打つ台、打つ台すべて当たるような気がします。出しまくって店長を白目にさせてやりますよ!」


そう喋る管理人の目はまるで子供のように光輝いていた。

もしかして彼なら本当にやってしまうのではないかと我々も思い始めていた。



―――無事に大宮に到着し、彼はまっすぐお目当てのホールに向かう。

「一度しか来たことないんですが、いい雰囲気のホールですよね。入り口で飴貰えますし。」

そこそこ混雑しているホールのようだ。彼はとりあえずパチンココーナーの戦国乙女3の島へと向かう。

「置いてあるのがミドルなので残念ですが、ここから一発逆転を狙いましょう」

投資額7000円くらいだっただろうか・・・満面の笑みで打っていた彼の表情が一変した。

「なにか違うような・・・なにか違和感を感じるんです。それに隣の人がおすわり500円で当たったので嫌になりました。」

そんな理由でやめて大丈夫なのか?我々はそう感じていた時、彼はこう続けた。

「台は生き物なんですよ。人と同じで機嫌が悪い時だってあるんです。それをいかにフォローできるかで結果が変わってきます。僕がフォローできない以上この台で勝負することはできません。」

それは彼なりのパチンコ論なのだろうか・・・
しかしその考えを軸に養分としての実績を積み上げてきた彼の言葉には 重みがあった。




その後、彼はパチンコの島を後にしパチスロの島に向かって行った。

「さっきのような話をしていてあれですが、完全に自分の腕だけ台をねじ伏せさせることができるかもしれない機種が存在するんです。」

彼が向かった先にあった台は
"パチスロ創聖のアクエリオン2"
だった。

「世の中にはエスパーかエスパーじゃない人間の2種類しかいないと思うんです。」

「僕は圧倒的に前者、つまりエスパーなんです。」


そう言ったのもつかの間、彼の打っていた台は不動モードに突入する。

10Gの間1/3でエスパーチャンスだ。

しかし彼は 0/5 すべてを外していた。

「今日はちょっと感覚が鈍ってますね。寝てない影響が出てきているではないかと・・・」

「悔しいですね、どうせなら設定良さげなアクエリオンに移動しますか。」


何を根拠に高設定と言っているのか理解はできなかったが、
彼曰くボーナス搭載しているタイプの台は合算が良ければ高設定らしい。

「合成1/200ですよ。設定10くらいは見込めそうですよ。」

彼は自信ありげな顔で回し始めた。

小刻みな粒がデータ表示機に表示されていたが

一向に当たる気配がしない。

500Gを超えたあたりによく分からずボーナス確定

BIGボーナスだった。運良くスットクを2つ獲得していたが

何も起こらず気がついたら、通常時に戻っていた。

そしてゲーム数はまたしても500Gを超える。

彼が打ち始めたゲーム数だけに限ればボーナス確率は1/1000となっていた。

「さすがに設定-10で打ち続けるのは僕のモットーに反しますからね」

「まぁおかげでエスパワーを使わずに済んだので次回に繰越です。」

「まだ時間もあるので他の台で勝負しましょう」


彼はまたパチンコの島をウロウロしていた。

その結果、座った先はまたもや戦国乙女3だった。





―――ダメだと言っていたのに戦国乙女。
彼が何の考えも無しに同じ台に座るわけがない。

「さっきは台の機嫌と僕のモチベーションがダメな原因でしたが、秘策を使うことにします。」

「打-winでヒデヨシちゃんプレイします。」


彼はそう言うとパスワードを入力し始めた

ちなみに彼は戦国乙女3を過去60000円分打っているが 未だに当たった事がないそうだ。

ちなみに彼を挟んで左に2台、右に3台とみなが乙女乱舞モードを消化していている。

しばらくして彼の表情が曇り始めた

台に表示されている残金の数字は25

つまり彼の所持金の残り金額が2500円だと言うことを意味する。

しかしそこで彼の台にも動きが・・・

超ときめきモードからのカシンリーチへ

基本ハンドルから手を離さない管理人だが

ついに手を離して腕組みをして液晶を真剣な眼差しで見つめていた。

彼はこれが最後のチャンスだと悟ったのだろう・・・

結果は見事大当たり。


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「正直これ外したら引退してやろうと思ってました。」

後に彼はこう喋っていた。パチンコの神がもしもいるのだとしたら、神は決して彼を見放したりはしないのだろう・・・





一時間も経たないうちに彼はホールの隅の喫煙スペースから

牙狼FINALを見つめていた。

15箱近く積んでいる台を見ながら彼はつぶやいた

「いいなぁ・・・」

そう言うと彼は飲んでいたコーラをぐっと飲み干し

置いてあったおしぼりを鷲掴みにしホールを後にした。

帰宅するための電車の車内で彼に尋ねてみた。



―――戦国乙女の結果はどうだったんですか

「いやーまくれるはずだったんですけどミスっちゃいました。」

「初当たりの後の4Rで箱変えちゃって流れが完全に悪くなってしまってそのままSTはスルーしました。」

「とりあえず一箱は全部飲ませたんですけどうんともすんともいわず・・・」

「諦めきれなくて、1パチで遊ぼうと思ったんですけどね。400円で5回しか回らなくて退散しましたよ。」




―――その時、車内アナウンスが鳴り響く

「後続の列車が遅れているため、この電車もしばらく当駅で停車します。お急ぎの方は・・・」

たくさんの乗客が降りていくが、彼は微動だにしない。

「いいんです。ホントは早く帰って眠りたいんですけどね。なんか周りに流されるのってかっこ悪いじゃないですか。」


そう言うと彼は可愛い寝息を立てながら眠ってしまった。

無理もない昨日から一睡もしないで彼は戦っていたのだから・・・









翌日。彼はいつもどおりの元気な姿でPC前に座っていた。

モニターには何かのアニメが映しだされている。

金髪のベレー帽を被った幼い女の子と茶髪の帽子を被った女の子が戦闘を繰り広げているようだ。

特に何をするでもなく彼の日常がそこにはあった。

最後に、管理人に聞いてみた。



―――昨日の収支を教えてもらえますか?


「折角忘れようとしていたのに酷いですねwww」

「所沢で-20k、大宮で-47kでした。」





トータル-67k(正確には67900円)


人によってこの額が多い少ないはあるだろう、

しかし彼にとってはとんでもない金額だ。

6月はうどんそばとコーンフレークで生活をしなければならない。

しかし彼の養分としての人生はまだ半分にも達していない

あと何回こんな生活をしなければならないのだろうか?

我々は彼になんて言葉を掛けていいのか分からなかった。

そんな我々の気持ちを知ってか知らずか彼は満面の笑みで こう最後に呟いた・・・





「実は今月女の子とデートする約束があるんですよ!!!

ウヒヒwwwww」









制作著作 P.P.C